★広島・長崎の原爆20回忌に米・ソ・中諸国の奴隷族(よくもまァ金と暇があるもんだ。筆者など貧乏庶民に無縁)が三つ巴に原水禁大会お祭り騒ぎをし、全国25万人の原爆被災者をして“見世物でない”と怒らせた。原水爆反対に右も左もあるもんか。政治以前のイロハが判らぬとは情けない奴隷共だ。いい加減に奴隷日本から独立できんのか。広島三滝町の老媼(80)は夫を“米鬼”に焼殺され“ピカは人が落さにや落ちてこん”と日夜悲憤を繰り返している。「主語」のない原爆慰霊碑がなぜ「主語」を消したかを考えたことがあるか。奴隷族は「主語」の消失を逆にしているのだ。彼らは原水禁でなく原水爆に奉仕したいのだろうテ。原民喜、峠三吉の詩でも読め!
★佐藤首相は8月19~21日本土首相として初めて沖縄を訪問したが、初花の形だけの赤旗を逃げて米領の迎賓で泊って筆者にも恥づかしい思いをさせた。せめて河野一郎だったら!と思うが生命をかけない腰抜け共では致方もない。だが、国旗だけの集団デモならよかったが、本土の奴隷共の遠隔操作による操り人形の赤(垢)が入っていたので本土復帰の悲願を逆効果にした。この赤旗の形の故に米国は得たり賢し!と全日本人の悲願を遠ざける口実を得たことだろう。ハテサテ、12歳以下は困ったもんだとマ元帥も苦笑しているだろう。
★“貧乏人は麦を食え”と本当のことをいった池田前首相は本当のことをいわぬ医師団に騙されて8月13日他界した。次いで高見順氏(58)が16日の近代文学館の地鎮祭まで頑張って17日“死の淵より”でなく“死の淵”をこえた。癌は早期発見・早期手術というが“早期”は難しい。日本では39年十万四千数百人が癌で死んだ。五分間に一人づつ中堅層・大黒柱が死んでいる。筆者も昨年の今頃癌センターへ日参していたが(入院していた谷岡名誉社友も7月他界、癌研入院の横山名誉社友も4月他界)憎まれ子世に憚かるで生きていて、早死の善人達に申訳ない。それはともかく、癌追放は結局「政治の動脈癌(河野一郎でないが)や癌の早期発見・早期手術」でなければ駄目だ。
★小説家も詩人の一種だ。若い日に詩集を持ちえなかった作家が晩年に詩に志しても、おかしくもおそくもない―晩年の詩魂は讃うべきかな!―は林房雄氏が40・7・30読売夕刊「東風西風」に書いた末句だ。林氏も同欄で三好達治氏の「詩情は二十代で消える。あとは言葉をみがくだけだ」の言(ドグマであり無礼千万だ。仏だとて許されん)へ反駁しているが、芸術一切(いや宗教も科学も)は老来最高へ行くのが東西古今の真理だ。84歳の正富汪洋氏、80歳の服部嘉香氏はまだ若い。96歳の漢詩人片口江東翁(富山県小杉町)の詩魂烈々に続くべし矣
(40・8・21正午、中山 輝)
掲載誌:『日本詩』白鳥省吾詩集「北斗の花環」出版特集 第23巻・復刊58号 通巻158号 1965 10月号