後進育成は巻頭言の通り、私達のつとめの一つですね。大いに新人の発掘と指導に努めて下さい。今号は中々の逸品揃い、三井氏の“花の蝶”の一と四、都築氏の“つけぼくろ”“狭い田舎”島田氏の“どうろく”神高橘氏の“石”中山氏の“俺もだまって”阿蘇氏の“皮膚の山”羽田氏の二作などそれぞれユニークで興趣深く、殊に都築氏の若返りに感心しました。また羽田氏の二作は新しさがあり、セリフが冴えていますね。「春となり」などユーモアで思わず失笑。そのくせ温かみと丸さがあるのはさすが。平山徹妙氏他界はや三年とは早いものですね。私らも早川孝吉君を今春失い寂寞感強しです。
平山遺稿集ご出版の由、なかなか出来ないことです。小菅氏父娘民謡集におとりくみの由大変ですね。他日機会あらば“木星会”に陪席したいものと念じています。〈四、二五〉
掲載誌:『時雨』92号