一
すっからかんの 空財布(なう)
いつまで 經たうと 空財布(さうだ)
すつぱの すつぱと 叩いてりや
(オイ)
雲も すつぱと 截(き)れて 翔(と)ぶ
二
すつからかんの 空財布(なう)
どうせ もとから 空財布(さうだ)
すつとこ すつとこ 抛げてゐりや
(オイ)
痩せて 冷めたう ちて くる
三
すつからかんの 空財布(なう)
俺も お前も 空財布(さうだ)
さつぱり さらりと 棄ててくりや
(オイ)
袂も 輕い 身も 輕い
四
すつからかんの 空財布(なう)
草に 隠れた 空財布(さうだ)
すつぱん ぱんと 裸か身ぢや
(オイ)
肩組みや 瞼 濡れて くる
明治三十八年四月富山縣中新川郡上段村にに生れ、下新川郡西布施村に育つ。魚津中學、第二早稲田高等學院を經て早稲田大學法學部英法科に學び大正十四年病氣中途退學。大正十五年北陸タイムス社に入社。現在富山日報社會部長、傍ら富山藥事新聞編輯長を兼ぬ。大正十五年日本海詩人聯盟を興し、日本海詩人を出して途中脱して昭和五年詩と民謠社を興し「詩と民謠」を出して今日に至る。詩集「石」あり。民謡集「虹」近刊。
掲載誌:『日本詩壇』 昭和9年1月 45ページ