その他

「遠い日を」

光は影になれないで
石は小蝶になれないんで
魚は雲になれないんで
松は西瓜になれないんで
みんなさびしい貌をしている
 ――生きるということは こんなにも難しく辛く切ないものなんだろうか と

でも みんな別々に与えられたいのちの現われだから と
哀しさの深みで それぞれの存在の意義と価値を確めあって
遠い日を夢みている

(44・9・25 午后2時15分)

掲載誌:『北国帯』 昭和44年11月 13ページ