民謡

「戀慕數へ唄」

一つとせ
一つ ひとめで惚れたとさ
ひとり 思案(しあん)にくれたとさ
    アリヤ ドンドン コリヤ ドンドン

二つとせ
二つ ふた親(おや) しらぬとさ
笛を吹き吹き かよたとさ
    アリヤ ドンドン コリヤ ドンドン

三つとせ
三つ 三日月出てたとさ
みちは雪道凍てたとさ
    アリヤ ドンドン コリヤ ドンドン

四つとせ
四つ 夜さ夜さ ねれぬとさ
醉うたふりして泣いたとさ
    アリヤ ドンドン コリヤ ドンドン

五つとせ
五つ いつになりや 逢へるとさ
いつもあへずに かへるとさ
    アリヤ ドンドン コリヤ ドンドン

六つとせ
六つ 胸の火絶えぬとさ
無理にお酒ものんだとさ
    アリヤ ドンドン コリヤ ドンドン

七つとせ
七つ 七坂濡れたとさ
ながすなみだで 濡れたとさ
    アリヤ ドンドン コリヤ ドンドン

八つとせ
八つ やつれて やせたとさ
やけに 闇夜で 呼んだとさ
    アリヤ ドンドン コリヤ ドンドン

九つとせ
九つ こころで 思たとさ
戀は せつないものだとさ
    アリヤ ドンドン コリヤ ドンドン

十とせ
十で とうとう添うたとさ
とんだことから添へたとさ
    アリヤ ドンドン コリヤ ドンドン

掲載誌:『民謡音楽 主幹野口雨情』2巻 10号 昭和5年 1930 12月号