死んだ山のお腹に赤ん坊の山があり そのお腹に炎があり その下に川があり
その川が光に触れて身悶えしてうねりはじめ
その川の下を別の川の赤ん坊が横切りながら息づき出し
海のお腹にも川があり それに乗って魚どもが死んだ山を求めてうろうろし
背のびする街の下を失われた部落の墓が沈んでゆき
そのお腹に土偶が眼球を抉られたのを笑い放しにし
光のお腹に影があり死のお腹に生があり
(40・2・19)
掲載誌:『詩と民謡 北日本文苑』第23巻 二・三月合併号 復刊52号 通巻152号 1965
北日本文苑詩と民謡社