オレは点―すてられた果て、燃えた果て屑の屑、限られた・呪縛の・限界の点孤と個々との以外になにもないオレ。
五十億光年の向うにいるオレ、点以外に燃えることの出来ぬ三ツ目の小僧、人はいう―オレを横だと、その中に、やれ電子・やれ中性子・やれ反陽子・やれ種子のオレがいると。
いわせておけ 好きなように。
オレは点―光も点 時間も点、誰が何と云おうと オレに関りがない
点の列りが線だというのは月並の線、太陽の点でない
点は点、線は線、個は孤で不可侵だ。
点と線が同一だ―何? 事理の独断だ。
オレは点―その限界を超えられぬ代り、個と孤のおかげで 孤の上の自由を占めている。オレが線になったら、もはやオレの白骨だ。
オレは太陽となり、太陰となり、草、木木、石、虫けら、魚の形になる。
個のオレ、点のオレ が宇宙を司っているのを誰も知らない、それを知らない君らは、点の座を失って、線に列るだけの?だ。
個に生きるオレこそ孤に泣いて生れたのだ そして孤を描いて五十億光年の八方に点在しているのだ……
―39・1・20 夜
掲載誌:『詩と民謡 北日本文苑』第22巻 四月号 復刊43号 通巻143号 1964 早川孝吉氏追悼号
北日本文苑詩と民謡社