藁納屋の 土間隅で
じゃがいもが ひとりごと
筵戸を ぶつな雪
またお豊 泣いとるで
嫁にきて 六月(むつき)だに
藁納屋の 軒下で
玉ねぎが ひとりごと
坂みちを 消すな雪
あの与助 帰らぬぞ
町に出て 四月(よつき)だべ
藁納屋の 籾殻(もみがら)で
里芋が ひとりごと
いつまでも ふるな雪
義理人情 きびしいで
姑だて 泣いてるべ
(39・12・28夜)
掲載誌:『日本詩』 第27巻・復刊95号 通巻195号 1969 6月号 故湯山泰佑氏追悼特集