①
ビルの窓々 ひかりをたたえ
駅とオフィス 結んだ列も
あすを 夢みる 明るいひとみ
わたしァ はたちよ 一人前の
ビジネスガールよ はつらつ娘
温室そだちぢゃ もうないけれど
人生勉強 これからよ
②
ゆこか 新宿 戻ろか銀座
十字街路の シグナルさえも
片眼つぶっちゃ 青赤黄いろ
わたしァ大人よ 一人前の
ビジネスガールよ しっかり娘
まともに吹く風 跳ねかえしても
恋愛修業は たじたじよ
③
鳴るは電話か こころの鍵(キイ)か
光る東京 たれゆえ 昏(く)れて
若さ讃えて ネオンも呼ぶか
わたしァ 社会人よ 一人前の
ビジネスガールよ りっぱな娘
社会見学 最中だけど
花嫁心得 まだまだよ
―三三、九、八 連作の一―
掲載誌:『詩と民謡 北日本文苑』第21巻 八月号 復刊36号 通巻136号 1963 北日本文苑詩と民謡社