ひっそり 包み蔽い隠して庇っている
暗さに脅えふるえている小さないのちの灯を
白い羽をまるめてうずくまり じっと目をとじ
遠い何かの跫音に耳をすましながら
光が来ると めざめながら形を崩して逃げ去ろうとし
光が去ると 青ざめ 鋭い目つきをして
頑(かたくな)な意志のままのガラスを装っている
どうせ何もかも失い 無明へ帰るのだからと
ありのままの象(すがた)でいる
小さないのちの灯がぬくまり 羽ばたくのを見守りながら………
掲載誌:『日本詩』 第26巻・復刊90号 通巻190号 1968 11・12月合併号