「線」

姿を消したきり ずっと生き続けている
どう伝っていけというのだろう
折角片足を支えてくれているのだから
目をとじて従っていこう
無明から無明へ浮き沈みしている あるかないかの線のままに

やがて線となれる私だけの時間の果てまで

掲載誌:『日本詩』 第26巻・復刊88号 通巻188号 1968 9月号