交声組曲「高志のうた」①
―黒坂富治富大教授の嘱に依る―

序曲
①短歌調(有磯海は富山湾)
光呼ぶ 立山父に 幸(さち)寄する 有磯海(ありそみ)母に 栄(は)ゆる高志国(こしぐに)

立山は 高志(こし)のふるさと 遠御祖(とおみおや) 神さながらに 同胞(うから)守(も)り在(ま)す

②童謡調(雄山社立山頂上)
てんてん てんまり 天へいく
てんてん お山の てっぺんで
てんてん おてんと あびながら
てんてん うとうと 一ねむり

てんてん てんまり どうしたの
てんてん 雄山の てっぺんで
てんてん おねんね それっきり
てんてん 小石に なったとさ

てんてん てんまり 守(も)りしている
てんてん 雄山の てっぺんで
てんてん おてんと あびながら
てんてん 子どもが 遊ぶのを

③小曲調
青丹(あをに)よし 奈良の都を
離(さか)り来し 家持(やかもち)の卿(きみ)
馬並(な)めし 高志(こし)栄えきて
代々(よよ)の跡 挙(こぞ)り恋い嗣(つ)ぐ 諸人(もろびと)ぞ 今(いま)

有磯海(ありそみ)を こえて経(へ)めぐり
外国(とつぐに)の 人のいのちも
救いゆく くすりの都
礼(あや)なして 挙(こぞ)り集(つど)うか 諸人(もろびと)ぞ 今

掲載誌:『日本詩』 第26巻・復刊81号 通巻181号 1968 1月号