線は平行さ 上下重なっているようでも 縦だけさ 光も時間も円だといってみても 同じさ
線は孤独だから線であり得るのさ
曲線だ 直線だ そんなもの何だというンだ
限られたものは限られていないし
限られていないものは限られているンさ
有るとか 無いとか 何をざわめくンだ のう泡よ
要するに自分できめた真実なんてないンさ
本当のものは何もありゃしないンさ
真と云い 嘘と云い 何を云ってるンさ
何もないということはみんなあることなンだ
虚しさは充実だ
ニセは本モノだ
赤に白なンだ
ゼロは無数さ
くよくよするな くだらぬことさ
あの太陽もおれが生きている間だけ生きているンさ
―三七・九・一二・長野駅近い車中―
掲載誌:『詩と民謡』1963年2月号