「ぶらんこ」

地を蹴る
梢を蹴る

山が往き来し
海が傾く
川が逆さに舌を出す
鳥は虚空に貼られたまま
秋が縮まって潜りこむ眼鏡を
童心へゆさぶっていくブランコ

日が赤い雲に蹴落される

掲載誌:『詩と民謡』1960年9月号 18巻9号