背は 何でも背負わさせられた
最後には 大地を 永久に
又
背は弦
背が張りつめているので指は矢となる
又
背に子の重み
前かがみになる背
足をつんのめらす
路がうしろへ逃げぬける
又
背中合わせになんか寝るから
間に夜気が入りこんできて
二人とも風邪をひいてしまった
背中合わせはやめようぜ
又
うしろに誰かいるようで
背に何かがよりそうているようで
ぞくぞくしだす
ふりかえっても くらさがひろがるばかりで、灯に背を向ける
気がしづまる
眠くなる
(昭和三五・六・一五東京大橋病院にて)
掲載誌:『詩と民謡』1962年12月号 20巻7号