界(よ)の向うは黒
白の責ではないンだ
傲っているのは 光だけなンだ
界を割(さ)いて来たものの好きなようにされたきり
もう 翔(と)べないンだ
もう 名もないンだ
汚れたものが 占め 司りはじめる
なぜ 白でなければならなかったンだ
もう どっちでもいいンだ
みんな 虚(むな)しいンだ
虚しさに帰ってはじめて笑えるンだ
無限に乗れるンだ
そこには 光も 白も 黒も いや 何もありゃしないンだ
本来があるだけなんだ
―三七・九・一一 長野駅迫る車中―
掲載誌:『詩と民謡』1962年11月号 20巻6号