「さいはてのくに」(歌謡)


オホツク海を めぐりくる
浪がとどろく 草丘に
咲いてふるえる はまなすよ
なぜにこうまで 紅(あか)いのか


さいはてのくに たずねきて
仰ぐ瞳(め)に泌む ひるの月
なにもさみしく ないけれど
呼んでみもした ふるさとを


入り日は茜(あかね) 雲は薔薇(ばら)
虹は七いろ ゆめ十いろ
どこへゆくのか 空遠く
声もたてずに 渡り鳥

(35・3・4=連作の一)

掲載誌:『北日本文苑 詩と民謡』1963年5月号 21巻5号