「おれも男だ」(歌謡)


赤い夕陽が おちる丘
青いすゝきよ なぜに泣く
おれも男だ 馬鹿だけど
泣いてなんかは いやせぬさ
 あいつ あいつひとりを 信じただけさ
 ひとり だまって 旅へいく


ほそい野みちが 消える果て
くらい渚よ なにを泣く
おれも男だ 馬鹿だろが
涙なんかは 出しゃせぬさ
 あいつ あいつひとりが 女じゃないさ
 ひとり わらって 生きていく


遠い故郷は 空の果て
燃える星座よ だれを呼ぶ
おれも男だ 馬鹿だろと
未練なんかは 持ちゃせぬさ
 あいつ あいつひとりが よければいいさ
 ひとり 祈って 旅をいく

―三六、六、二四 車中―

掲載誌:『北日本文苑 詩と民謡』1963年4月号 21巻4号