「石ころ」

石ころを蹴ることしか
遊戯(あそび)を知らぬこの町の兒

ある日 その石ひとつをうしなうてから
もの足りぬ兒となり呆(ほう)け
ようなぐさまずそればかし氣にしてゐる

掲載誌:『石』 中山輝詩集 昭和5年9月 73ページ『石』