「石匠」

石匠(いしく)がじつと凝視(みつ)めると
ざらざらのその面(めん)に
だんだん なにかがみえてきて
石はいつしか性(さが)を失ふ
埋れた像(ぞう)がひかりだす

掲載誌:『石』 中山輝詩集 昭和5年9月 72ページ『石』