「石と草」

ひとびとは知らずに歩いてゐる
この石がしがみついてゐることを
どぶにおちることから逃(のが)れようと
もだえあせつてゐることを

そしてまた――
一すじの名知らぬ草が
この石を庇(かば)つてゐることを

掲載誌:『石』 中山輝詩集 昭和5年9月 74ページ『石』