「雪を割る」

手に はあ はあ 息(いき)をかけ
とん とん 足ぶみして雪をふりおとしては
吹雪の底に一かたまりとなり
雪を掻き 雪を割つてゐた
あのでこぼこ路をさがしださうと
ひぐれをこゝろもちあせりながら

あんなへねくれ曲つたでこぼこみちでも
やつぱりひとびとにはなつかしいのか
すこつぷの尖端(さき)が石などにぶちあたると
みんな歡びのこゑをあげ よう よう 叫喚(はしや)いだ

掲載誌:『石』 中山輝詩集 昭和5年9月 66ページ『ふるさとの顔』