「花」

どれも これも つぶらでくろつぽく
おんなじかたちをして土の上に座つてゐたに
するする 伸びはじめてからは
てんでにちがつたところに葉をつけ
てんでにちがつた葉かげへ花をひらいた

ああどれもこれも
てんでにちがつたいろをして
みんなよそよそしく花をひらいてゐる

掲載誌:『石』 中山輝詩集 昭和5年9月 65ページ『ふるさとの顔』