「あをそら」

いつても いつても だだつぴろくて
ひかりばかしで そらはつつぬけ

そらはからつぽ
あまり しんかん さびしすぎ……
なんだかじぶん自身でおそろしくなり
遠くで「おうい」と呼んでみてゐる

たまにむくむく雲が出りあ
ぢきにそのおとすかげが氣になりだし
その雲をもつい吹きながしてしまふ

だだつぴろくて そらはつまんなからう
しんかん おしだまり 何かを湛へてゐる

掲載誌:『石』 中山輝詩集 昭和5年9月 54~55ページ『ふるさとの顔』