「摸索」

掌(て)で摸索(さぐ)り
指で覺知(さと)り
窪みにむかふ

ひかりをしらず
ひかりを湛へ
おのづから ながれを象(つく)り

みづのひとつら
物體(もの)あれば外(そ)れ
それでゐて やすらかな
かがやかな

掲載誌:『石』 中山輝詩集 昭和5年9月 44~45ページ『分身』