「日光」

雲をつらぬき 葉を潜り
いつさんにきた日のひかり
うろうろ壁を撫でてたが
とうとう摸索りあてたのだ

破れ孔からをどり込み
そつとくちづけてゐる、兒の髪に
なみだうかべて睡てる兒に

ひかりは、
ひかりは遠くから
母を慕ふこゑ聽いたのだ

随筆―215
『民謡詩人』昭和3年 1928 10月号
「どくだみの花」
中山輝
溝をこのんで咲いたはな
溝によつて護られ
溝によつて美しさを增し
それも氣づかぬ白いはな
どくだみの花

掲載誌:『民謡詩人』昭和3年 1928 10月号