(無題)

どこやらで
誰か呼ぶよな声がする
甘くねむたい
春風の中

松は松
桜は桜別々に
生きて調和たもつ
美事さ

見も聞きも
出来ず歩けぬ木よ草よ
自殺も出来ず
切なかろうな

地の果ては
海だな海の果は陸
光の中で
眠りこけてる

此の命
宇宙の命ふえもせず
減らず出て消え
変ってくだけ

掲載誌:『花園』116 2月号 昭和42年2月1日発行