「送り火」

この墓石(はか)は
どこかへつづく岸の石――

あのひとは
まだ歩いてるにちがひない
水のうへを
薄ら明りを

妹よ さあ 火を翳さう 高く 高く

掲載誌:『石』 中山輝詩集 昭和5年9月 83ページ『出顯』