「月の出の坂」

メクラと唖(ごろ)とが 添うたとよ
蕎麦の花白うて明るいに
筵戸(むしろど) おろして 出なんだとよ

親たちァ 涕(みずはな) 掌(て)で拭(の)ごて
提灯消して「よかったべ」
「よかった よかった よかったべ」
月の出の坂 おいおい泣いて
段々田ン圃みち いったとよ

掲載誌:『現代民謡詩選』 昭和31年6月 186ページ