君は清冽な流れだ
どんな風にして谷あいを歩いて来たのか
そんなことはどうでもいい
少しは泥などの崩れをかぶって濁ったこともあったろうが
つつましやかで清らかで一すじの現在だ
それにくらべておれは何という汚い濁流だろう
図々しくて慾ばりで 何でも呑もうとし好きな姿態をしている
だが 君に交ってから
だんだんおれの汚濁がうすれて来た
君によって浄められ出したのだ
結局 おれは君に同化してしまい
清冽な流れになるだろう
美しく何でも映す君に触れることが出来て
この濁流は感謝の歌を高めるばかりだ
掲載誌:『壺』 昭和49年7月 1ページ